日笠陽子(ダレス役)
内田雄馬(ウォルター役)
特別インタビュー
──ついに第3期として、物語の完結までが描かれます。改めてアニメが完結することへの今の気持ちを教えてください。
内田雄馬さん(以下、内田) 本当に長い期間アフレコしていた作品なので、思い入れがありますね。実は第3期のアフレコ自体はかなり前に終わっているんですが、その分、お待たせしました!という気持ちです。
日笠陽子さん(以下、日笠) 第1期から第3期まで、ダレスの変化していく過程を新鮮な気持ちで演じることができました。
私は普段、恋愛から程遠い作品ばかり演じているので、ダレスの愛らしい部分は、演じていて本当に恥ずかしくなってしまうくらいで(笑)。
内田 そんなに恋愛ものとは無縁な感じでしたっけ?
日笠 ハーレム系の作品とかはあるけれど、それもメインはバトルみたいな感じなんだよね。
内田 なるほど。一対一で向き合って恋愛するみたいな作品はなかったんですね。確かに、同じブースでアフレコしていても、なかなか目が合わないなぁとは思っていました。
日笠さんとは付き合いも長いので、プライベートで一緒にご飯を食べに行ったりすることもあるんですよ。なのに『死神坊ちゃん』の現場でだけは、やけによそよそしくて(笑)。
日笠 恥ずかしくて……でも、ダレスとウォルターも、アリスと坊ちゃんも、皆がハッピーエンドに向かっていく希望に溢れた物語で良かったなと思います。
──『死神坊ちゃん〜』という作品全体に対して、感想や思いを改めて伺いたいです。
内田 この作品は「誰かと一緒にいることの大切さ」を教えてくれる作品ですよね。
ウォルターだったら二番手として比べられることとか、ダレスだったらシャーデーとの関係性とか、登場人物みんなが葛藤を抱えていて、でも誰かといることで「自分らしさ」が見えてくる。
自分のことって隣にいる人が教えてくれるよね、ということを、優しく描いている作品だと思います。
日笠 私も同じような感想になってしまうんですが。
人って誰しも、お母さんのお腹から生まれ落ちた時に、初めての孤独を感じると思うんです。そこでお母さんが抱きかかえてくれて、肌と肌が触れ合う喜びも初めて知るのかなと。そこからその喜びを求めて、お友達や恋人ができていくわけですが、坊ちゃんたちはそれができなかった。
ダレスとウォルターも魔女と人間という立場から、なかなか近づくことができなくて。みんな自分の中にある孤独を飼い慣らしたいんだけど……さて、どうなっていくのでしょうか(笑)。
内田 全部話すとネタバレになっちゃいますからね(笑)。
日笠 そうなの(笑)。でも「隣にいるだけでは埋まらない孤独がある」ということを、繊細に緻密に描いている作品だったなと思います。
内田 それを何で埋めていくかっていうことが描かれていますよね。人によって、言葉だったり、触れ合うことだったりね。
──素敵な感想をありがとうございます! 先ほどから息のあったトークを展開されているお二人ですが、アフレコ現場はどんな雰囲気でしたか?
内田 ダレスとウォルターの関係性って、ダレスがはわわ…としているところにウォルターがズバッと言いに行くみたいな感じなので、実際に照れてる日笠さんを見ていると、ウォルターとして没入感がありました。
でも、実は一緒に収録できたことはそんなになかったんですよね。
日笠 そうだね。2期はほとんどなくて、3期で何回か。
まだコロナが落ち着いていない中での収録だったので、人数を絞ってやっていたんです。私はアリスや坊ちゃんと一緒に録ることが多かったので、アフレコ現場では2人の恋愛模様を見守ってきた感覚ですね。
ウォルターと一緒になる機会は少なかったけれど、遠いところにいるからこそ、絶妙な距離感をうまく表現できたのかもしれないです。
内田 そうですね。
日笠 ダレスって最初は骸骨の仮面を被っていたじゃないですか? だから最初にキャラデザインを見た時は「どう演じたらいいんだろう?」というところから始まって。
シャーデーから言葉で呪いをかけられて、孤独な人なんだなというのが次の印象。でもそんな中でウォルターと出会って、自分のことを理解してくれるかもと思えて……
内田 言葉で呪いをかけられたダレスが、ウォルターの言葉でまた癒されていくというのが、いい話ですよね。
日笠 うん。人に傷つけられたことって、人にしか癒せないと思うから。仕事も同じじゃない?仕事の失敗でクソッ!てなったことって、仕事でしか取り返せないのよ。
内田 今、全く同じこと言おうと思ってましたよ(笑)。仕事で傷付いたら……
2人 仕事で取り返すしかない!!
──息ぴったりですね(笑)。では、第3期ならではの見どころはどんなところでしょうか?
内田 ラストに向けてシリアスな展開になっていって。ウォルター的にはバトルもあったりして、また意外な一面が見えたんじゃないかと思います。
とは言え、『死神坊ちゃん』らしいゆるい空気感も健在。コメディ要素もありつつ、ラストスパートに向けて進んでいくところに注目してほしいです。
日笠 私は毎週、完成した映像を泣きながらチェックしていたんです。それくらい、ダレスが過去に受けた苦しさが描かれていて。
でも、それをウォルターの温かい言葉が癒してくれて、現在だけじゃなく過去のダレスのことも救ってくれるんですよね。そういう意味では、過去の自分を乗り越えていくダレスが見どころかなと思います。
──物語が進むにつれて関係性も深く進展していったダレスとウォルターですが、内田さんから見たダレス、日笠さんから見たウォルターの印象は、それぞれどのように変化していきましたか?
内田 ダレスは最初はミステリアスで……でも、割と早い段階でウォルターに自分の弱さを見せていたと思うんです。だからこそ、ある意味で運命的な出会いだなと感じていました。お互いに一緒にいる時が一番、素に近いんじゃないかと思っていて。
素直なダレスを見ているうちに、どんどん愛おしく思えてきましたね。
日笠 ウォルターは、最初はギャグのイメージが強かったです。雄馬のお芝居もかなり全力で、毎回「喉、大丈夫かな」と思いながら見ていました(笑)。
それがだんだんとダレスの中で見方が変わっていくにつれて、私もだんだんウォルターの全てが愛らしく感じるようになりましたね。
血を吐いても「あ、拭いておきますね」みたいな感じで(笑)。
内田 あはは(笑)。第1期の最初の頃は、ウォルターももうちょっと静かに演じていたんですよ。
でも「もっと激しく」とディレクションされて、振り切ってやっていたらああいうふうになり、次第にまさかの恋愛に発展していくという……
日笠 でも、そのギャップが良かったのかもしれないね。ダレスはもちろんウォルターに救われましたが、ウォルターもダレスに癒された部分があったのかなとも思います。
内田 そうですね。ダレスのおかげで血を吐く頻度も少なくなりました(笑)。
──ありがとうございました。では最後に、少年サンデーならびにサンデーうぇぶりを読んでいる読者にメッセージをお願いします!
内田 ウォルターという役をここまで長く演じることができて、第3期まで皆さんにお届けすることができて、とても幸せです。
原作の世界観を優しく丁寧に作っているアニメだと思うので、原作ファンの皆さんも、ぜひ最後まで見ていただけると嬉しいです。
日笠 今回の第3期で、原作の最終話までアニメで描かれます。
私たちも原作ファンの方の期待を超えるようなお芝居をしたいと思いながら演じてきたので、ぜひ見ていただけると嬉しいです。
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