『龍と苺』限定完全公開記念 スペシャルプログラム

 

「藤井聡太五冠と対局するのは、いやです。負けるのは嫌いなので(笑)」

鎌田美礼女流二級(14歳)を取材するために、ご自宅のある茨城県に車を飛ばした少年サンデー特別取材班。

近くの公園で写真撮影を始めると、むむ、撮られ慣れている! あら、「どうして」とたずねたら、それもそのはず、キッズモデルとして幼少期から『めばえ』や『ぷっちぐみ』でデビューしていた経験があるのだった。

子供のときに、ファッションモデルをやり、テレビドラマにも出演していた少女が、将棋に打ち込んで、中学2年生で女流棋士となったのだった。

早速、将棋の面白さや、プロデビューのエピソードを聞いた!!

 

「なにかに没頭して考えられる。それが楽しいです」

 

ーープロデビュー戦は、中倉宏美女流二段(43歳)との対戦でした。アマとプロ、どこに違いを感じましたか。

 

対局室に入って互いに座布団に座って、対局時間を待っていたときに、中倉さんが、カバンからペットボトルを何本も出して並べ始めたんです。

それを見て、「そっか、プロは飲み物をたくさん並べるんだな」と思いました。

そこが一番違いを感じました。

私も一本だけ買って置いていたんですが、買って、横に置いたこと自体が初めてのことでした。

だから、「プロは飲み物を並べる」がハッとしたことです。

 

 

ーー残念ながら負けてしまいましたが、プロ1勝目を楽しみにしています。

 

はい。

 

 

ーー鎌田さんは普段はどんな性格ですか?

 

おだやかな性格です。

 

 

ーー対局中は性格は変わりますか。駒を持つと性格が正反対になるとか?

 

盤上でもおだやかです。おだやかな気持ちで指していると思います。

 

 

ーー将棋はどこが魅力的ですか。

 

没頭するのが面白いです。考えているときにどんどん集中していくんです。

そういえば、学校の休み時間に、千羽鶴を折ることが自分の中で流行って。

千羽、折ったんです。

その時期はずっと折っていたのでクラスの人からは「変な性格」と思われているかも(笑)。

千羽鶴を折るのも没頭できて、集中できて、好きなんです。

教科だと数学が好き。数学の問題を解くときも、没頭して集中します。

私は没頭するのが好きなんだと思います。

 

 

ーー没頭マニアですかね(笑)。攻めと受けはどちらが楽しいですか。

 

どちらも楽しいです。

攻めるときは、自分の手番で、リードしていくことを考えます。

相手の陣地に踏み込んでいくことを考えます。

守っているときは、相手が企んでいることを潰すのが楽しい。

相手の攻めを途切れさせることができたら、自分に攻める番が回ってきますので。

 

 

ーーでは、序盤と中盤、終盤はどこが好きですか。

 

序盤は嫌いです(即答)。

 

 

ーーあら、そうですか(笑)。

 

覚えなきゃいけないことがたくさんあって…めんどくさい。

覚えると、もっと強くなることはわかっているんですけど……。

『龍と苺』の苺ちゃんは、あっという間に定跡を覚えていたけど、あれは才能がすごい! すごすぎる!(笑) 私も苺みたいに覚えたいです。

中盤、終盤は、集中して考える場面が多いので、好きです。

 

 

「迷ったときほど、適当に指します。
迷うということは、どちらを指しても変わらないんじゃないかって…」

 

ーー対局中に、指手で迷ったときにはどうするんですか?

 

迷ったときは適当です。適当に決めます。

迷うということは、どちらを選んでもあまり変わらないと思います。

 

 

ーーまあ、キッパリと、サッパリと、してらっしゃいますね。

お父さまが将棋のアマ強豪で小学1年生から始めたそうですね。いまは将棋の稽古は?

 

毎日、インターネット上の「将棋倶楽部24」で指すことです。

多い日は5、6局指します。

相手が指すのを待っている時間があるので、YouTubeの画面も立ち上げて、ゲーム実況をラップトップの右のほうの画面で見ながら、左のほうの画面で指しています。

 

 

 

ーーカメレオンみたい(笑)。別々の脳を働かせているんですかね。

 

さあ、どうでしょう(笑)。

最初のころはお父さんと指していたんですけれど、だんだんと私が勝つようになって。

そしたら、お父さんは「ちょっと寝てたから」などと言い訳するんですよ(笑)。

だから、お父さんとは指さなくなりました。

 

 

ーーお父さまに美礼さんの強さの秘密を聞くと、「他人より早く始めたこと。

それと、強くなるには、”知らない人”とたくさん指すことが大事だと思います」とおっしゃっていました。

 

そうですか(微笑み)。

 

 

ーーはい。ではあらためて、サンデーで連載中の将棋漫画『龍と苺』の感想を教えてください。

鎌田さんと苺は同じ14歳。この偶然に編集部もびっくりしているところです。先ほど、鎌田さんより、苺のほうが才能が上だとおっしゃってましたが…。

 

苺ちゃんは…なんといっても…他人に喧嘩を売るところがすごいですね。

私には、恥ずかしくてできないです。

 

 

ーー苺は、男性相手にでも食ってかかっていって勝とうとしていますね。

そういえば、現実社会でも、「出雲のイナズマ」の二つ名を持つ里見香奈女流四冠が”棋士編入試験”(※「女流」ではなく、男性棋士と同じカテゴリーで戦うための試験)の5番勝負をやります。8月18日から始まりますね。

 

里見さんのことを、同じ女性としてとても応援しています。

編入してほしいです。

 

 

ーー鎌田さんもいずれ…そんな夢がありますか?

 

今の夢は医者になることです。今は中学生ですが、医大に進学したいです。

将棋は指していきますけれど、将棋の夢は、もっと強くなったときに考えます。

 

 

ーーところで、藤井聡太五冠と対局…したいですか?

 

したくないです(即答)。

 

 

ーーえーっ、どうしてですか?

 

私、負けるのが嫌いなので。指すと負けちゃうから(笑)。

 

 

 

<鎌田美礼の24時間>
06:00 起床・お風呂
07:30 登校
     学校
     部活(ブラスバンド部/ドラム担当)
18:00 帰宅 ご飯 ごろごろ
19:00 YouTubeのゲーム実況を見ながら、将棋倶楽部24で将棋の稽古(多い日は5-6局)
22:00 就寝

 

◆鎌田美礼 プロフィール
2008年6月24日、茨城県生まれの14歳。プロ入り時点では13歳だった。

アマ強豪だった父の影響で6歳で始めて、小学3年生から、石田和雄九段に師事。

2022年5月1日付で女流2級となり、プロ入り。

好きな食べ物は、グミとラムネ。

好きな漫画は、『月のお気に召すまま』(木内ラムネ)。

ここだけの秘密は、将棋は強いが「じゃんけんはとても弱い」。

 

 

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