不朽の名作『犬夜叉』をベースに紡がれるTVアニメ『半妖の夜叉姫』のコミカライズ第1巻が1月18日に発売。アニメで主人公の3人を演じているキャストの皆さんに、コミカライズの魅力や『犬夜叉』の魅力、クライマックスのへ向けての見どころまで、たっぷりと語っていただいた。
松本沙羅(日暮とわ役)
千葉県出身。2013年、TVドラマ『馬医』で声優デビュー。主な出演作に『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(雀乃なみだ役)、『この音とまれ!』(来栖妃呂役)、『梨泰院クラス』(チョ・イソ役)などがある。
小松未可子(せつな役)
三重県出身。2010年、TVアニメ『HEROMAN』で声優デビュー。主な出演作に『うしおととら』(中村麻子役)、『スター☆トゥインクルプリキュア』(香久矢まどか役)、『呪術廻戦』(禪院真希役)などがある。
田所あずさ(もろは役)
茨城県出身。2012年、『サラダの国のサラ』で声優デビュー。主な出演作に『アイカツ!』(霧矢あおい役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(シンボリルドルフ役)、『神田川JET GIRLS』(紫集院かぐや役)などがある。
新しい視点が加わった「るーみっくわーるど」が新鮮
ーーコミカライズの第一話をお読みになった感想は?
小松 椎名(高志)先生が描かれた『半妖の夜叉姫』を読めるっていうだけで、これはもう最高なんですけど、アニメとはけっこう雰囲気が違っていて、素直に驚きました。
松本 私もです。個人的にはとわがスラックスではなくスカートを履いているところで衝撃を受けました。見目麗しいというか、美しさが際立っていて。
田所 とわちゃんが周りからキャーキャー言われている描写って、アニメでは意外と少ないので、新鮮で面白かったです。
小松 むしろアニメではとわがせつなに対してメロメロで、「かまってよ〜」って追いかけている感じですからね(笑)。
松本 カラオケに誘われるんだけど目力が強すぎて逃げられるとか、怪異退治のために自分から女の子を誘ってみたりとか、どれも見たことの無いとわで「こういうとわも可愛いな」って、すごく新鮮な気持ちになりました。
田所 あと草太パパの親バカっぷりとか、芽衣ちゃんのシスコンっぷりとか、全体的にコメディ要素満載で、そこはアニメよりもパワーアップしているような気がします。
小松 高橋(留美子)先生の「るーみっくわーるど」を受け継ぎながらも、新しい切り口も加わっていて、その融合の塩梅は「さすがは椎名(高志)先生だな〜」って思いますね。
ーーとわのように女の子からキャーキャー言われる女性って、みなさんの周囲にはいましたか?
小松 うーん、女子が女子に「キャー」っていう感じは、私の周りではなかったような気がしますね。ふたりは?
田所 私は女子校に通っていたので、その感じは分かります。
松本 私も女子校なので、なんとなく分かりますね。
小松 そうなんだ。私も高校と大学は女子校だったけど、そんなことはなかったなあ。
田所 私の学校では、人気者の先輩には密かにファンクラブがあったらしいですよ。私はテニス部だったんですが、やっぱりテニスの上手い先輩にすごく憧れていましたし。ボーイッシュな雰囲気の先輩で、あだ名は「ひろき」でした(笑)。
小松 男子っぽい!
田所 女子しかいないと、そのなかで女の子にモテるタイプの人っていうのが出てきて、そうなるとあだ名も男性っぽくなるみたいです(笑)。
松本 分かります。私の学校もベリーショートの子がけっこう多かった気がしますし、一定数がそういう役回りになるんですよね。
小松 なにかが芽生えちゃいそう(笑)。
田所 「あのふたり、付き合ってるらしいよ」っていう噂はしょっちゅう聞きましたね。
松本 私の学校では、学校案内のパンフレットのモデルに選ばれた先輩がめっちゃモテてましたね。ダンス部の部長と副部長だったんですけど、スタイルもいいし魅せ方も分かっているしで、とわみたいに歩いているだけで「キャー先輩カッコいい!!」って言われていました。
小松 そういうの都市伝説かと思ってたら、実際にあるんですね(笑)。
美しさが際立っているのがコミカライズの魅力
ーー第一話でとくに印象深かったシーンはどこですか?
松本 せつなともろはの登場シーンです。もろはの「なーにやってんだ 従姉妹どの!」っていうセリフが好きです。アニメでは一度も「従姉妹どの」なんて呼ばれたことはないんですけど(笑)。
田所 私もふたりの登場場面は「来た来たー!!」ってテンションが上がったんですけど、それよりもスタイルのほうが気になりました。「スタイル良くなってない?」って(笑)。
小松 もろはに限らず、ビジュアル的にはみんなちょっと凛々しくなってますよね。
田所 そうなんです。もう私の声じゃ合わないかも(笑)。でもみなさんの美しさが際立っていて、そこはコミカライズの魅力ですね。
小松 私は草太パパの回想シーンが印象的です。子供時代の草太が犬夜叉の背中に乗っているのを思い出すところ。やっぱり忘れていないんだなって嬉しくなりました。
松本 犬夜叉のことを「犬のにーちゃん」って呼んでいるのがまたいいですよね。
田所 「また会いたいよ。にーちゃん」って、最高ですね。
小松 あと、せつなのことで言えばアニメよりも殺生丸感がありますね。目つきとか表情とか。
松本 とわに「私より目が怖い!?」って言われてましたよね。
田所 「どーん」っていう擬音で笑いました(笑)。
コミカライズではロマンス多めを希望!
ーーコミカライズの今後の展開について、個人的に期待していることはありますか?
田所 私としては、もろはの幼少期が描かれるようなことがあれば、最高に嬉しいです。じつを言うともろはってまだまだ謎が多くて、例えば毎日どこに帰って寝泊まりをしているのかもよく分かっていないんです(笑)。
小松 それで言うと、せつなの日常生活もあんまり描かれていないんですよね。とわやもろはと出会う前についてもそうですが、ふだんは妖怪退治屋としてどんな生活をしているのかっていうのは気になります。
松本 私は是露の過去エピソードが読んでみたいです。その昔に犬の大将とどんなことがあったのか、興味があるんです。いちどアニメの脚本を書かれている隅沢克之さんが作った原案書を読ませていただいたことがあったんですけど、そこに是露の設定が細かく書かれていて。全部は読めなかったんですが、コミカライズ版で描かれたりしないかなと淡い期待を抱いています。アニメではヒール役の印象が強いですが、是露にも自分の正義があると思いますし。そこはきっと読者さんもすごく興味があると思うんですよ。
小松 あと完全に個人の希望を言えば、とわと理玖のロマンスがもっと見てみたいですね。
田所 それ最高ですよ!
小松 だよね! 理玖ってすごく純真で、じきに滅んでしまう存在なのかもと思うと、より切なくなっちゃって。
ーーアニメでは、最初はお互いを意識する描写がありつつ、その後はあまりロマンスを匂わせていないですよね。
田所 だからこそもっと匂いたいんです!(笑) さらに欲を言えば、せつなと翡翠のロマンス展開も希望します!
松本 それ見たい! あのふたりは、雰囲気がなんとなく犬夜叉とかごめさんと被るところがあるんですよね。性格も立場もまったく違うんですけど、仲間として日常をともにしている感じが似ているんですよ。翡翠もたまにかっこいいシーンがありますし、そのままふたりでランデブーしないかなって(笑)。
小松 『犬夜叉』って、キャラ同士の恋愛模様にもすごく惹かれた作品なので、どうしてもそういう目線で見ちゃうんですよね。どこかにそれを欲しがっている自分がいるというか(笑)。
ーーみなさんの期待にすべて答えようとすると、50巻くらいは必要そうですね。
田所 『犬夜叉』の全56巻を超えそう(笑)
松本 目指せ『犬夜叉』超え!
オーディション作品の読み込みに追われる日々
ーーみなさんは、プライベートではどんな漫画を読まれますか?
小松 『名探偵コナン』など、昔から大好きで読み続けている作品はいくつかあるんですけど、なかなか新規開拓ができていないんですよね。仕事柄、どうしてもオーディションを受ける作品を優先的に読むじゃないですか。
田所 分かります。私もほとんどがオーディション関係です。
小松 しかも私、原作がどれだけ長くても全部読まないと気が済まない性分なんですよね(笑)。
松本 それは……めっちゃ大変ですね。
小松 まあまあ課金してます(笑)。なのでふだんは息抜きも兼ねて日常系のゆる〜いコミックエッセイをスマホで読むことが多いです。「こんなことあるある!」みたいな感じで癒されています。
田所 私は妖怪が出てくるハートフルなお話が好きなので、『犬夜叉』や『夏目友人帳』なんかがドンピシャです。妖怪と人間が心を通わせる的な展開がたまらなくって。あとは『黒執事』も、異世界な雰囲気が好きで読んでいますね。
松本 私は日本の侍や武士が登場する歴史モノが好きで、そういう作品はだいたいハマっちゃいます。当時の本当のことなんて何も知らないのに、なぜか感情移入してしまい、ボロボロ泣けるんです。
ーーみなさん、嗜好がなかなかピンポイントですね。
松本 でも基本はどんなジャンルも読むんですよ。高校生くらいまでは少女漫画もけっこう好きで甘酸っぱい恋愛描写に「キュンキュンする〜!!」って悶えていましたし。
小松 私は恋愛に関しては『犬夜叉』と『名探偵コナン』の存在が大きいですね。恋愛漫画よりも、その2作を通じてイロハを学んだ気がします。
田所 私は兄がいたので、少女漫画よりは少年漫画で育ってきた感じですね。初めての漫画体験も『世紀末リーダー伝たけし!』でしたし(笑)。
井戸を見つけると胸が高鳴るのは「犬夜叉あるある」!
ーー『犬夜叉』について、それぞれお気に入りのキャラクターやベストシーンなどを教えてください。
小松 神楽がすごく好きなので、神楽の最期のシーン(単行本38巻第6話「風」)がベストです。なんて美しく、儚く、切ないんだと思ってボロ泣きでした。神楽には報われて欲しいけど、でも殺生丸にはりんがいるしで、なんとも言えない気持ちになりました。
田所 私は殺生丸様とりんちゃんの絡みが好きなので、そこからひとつ選ぶなら、アニメオリジナルエピソードの「殺生丸様と永遠に一緒」(第162話)でのやり取りです。りんちゃんが殺生丸様に「いつかりんが死んでも、りんのこと忘れないでいてくれる?」って聞いて、それに動揺した殺生丸様が「バカなことを」って返すんです。たった一言で泣かせてくる殺生丸様……ずるいです(笑)。
松本 私はとにかく弥勒様が好きですね。好青年風のビジュアルなのに女たらしなところとか、軽薄な感じがキャラクターとして好きだったんです。でも話が進んでいくと、じつは風穴の呪いで悩んだり葛藤していることが分かるじゃないですか。周りに心配かけまいとひとり悩む姿を見るたびに、「私がそばにいれば、弥勒様の話を全部聴いてあげられるのに!」って切なくなっちゃって。……私、だいぶ気持ち悪いですよね?(笑)。
小松 分かるよ。私の場合、キャラとして好きなのは神楽なんですけど、感情移入していたのはかごめで、やっぱりちょっと気持ち悪かったです。桔梗に対してずっと「いちゃいちゃしよって許せぬ!」って怒ってましたし、かごめを真似てちょっとスカートを短くしてみたり、親に「和室を私にくれ!」って頼んだり(笑)。
松本 かごめの部屋は和室にベッドのスタイルなんですよね。
小松 そうそう。かごめの部屋に似せたら窓から犬夜叉がやってくるんじゃないかと妄想して(笑)。あと学校に井戸があったので、用もないのに毎日覗きに行っていましたね。
松本・田所 分かります!
松本 今でも井戸を見つけると「うひょ」って胸が高鳴りますよね(笑)。
田所 それは「犬夜叉あるある」ですね。
とにかくみんなが幸せになってほしい
ーーTVアニメ弐の章も、いよいよ佳境を迎えようとしています。この先のクライマックスに向けて、みなさんの意気込みをお聞かせください。
松本 一難去ってまた一難の繰り返しがずっと続いていて、どうやって決着するのかはまだ私たちも知らないんです。
小松 不安が山積みなんですよね。現代へ飛ぶ直前にようやくお母さんのりんと一瞬だけ話すことができたんですけど、ゆっくりする間もなくて。すべてが終わったあとで、ちゃんと母娘がしっかりと抱き合えるのかが気になります。とわもせつなもけっこうボロボロですから。
松本 せつなはいちど死んでいるし、とわも命を削っていますからね。ただ、なぜかもろはだけはピンピンしているんですよね(笑)。
田所 ほんと、なんでですかね(笑)。考えてみれば殺生丸様もボロボロですし、りおんちゃんや理玖さんのことも心配ですよね。
小松 みんなが無事だったとしても、『犬夜叉』がそうだったように、最後には現代か戦国かの選択を迫られる気もするんです。そうなると別れは避けられないのかなって。
松本 とわとせつながそれぞれ違う時代で生きることを選択する可能性もゼロじゃないですよね。それを考えると、すごい寂しい気持ちになっちゃいます。
田所 うーん……阿久留さんと友達になればいいのでは?(笑)
松本 そうか! それなら現代と戦国を自由に渡れるかも。小松さん、これで決まりですよ!
小松 でもそれってあまりに都合が良すぎない?(笑)
田所 でも全員幸せになってほしいですから。
松本 これまで壮絶だったぶん、麒麟丸の家族も含めて幸せに終わってほしいですね。
小松 それはほんと同じ気持ちです。ベタですけど、現代に是露や麒麟丸に瓜二つの人がいて、そこでは幸せに暮らしているとかはどう?
松本・田所 まさかの転生オチ!?(笑)
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『GS美神』『絶対可憐チルドレン』の椎名高志による新解釈コミカライズ!!
『~異伝・絵本草子~ 半妖の夜叉姫』第①巻も大好評発売中!!!
©高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020